京都で生れ育った私の三田との出会いは、小学生の頃。母の実家がある加美町(現 多可町)に京都から車で遊びにいった帰り、必ずといっていいほど父親が三田市あたりで道に迷っていました。それをチャンスとばかりに、車を降りては、カブトムシやクワガタを探しに山の中へ入っていきました。自然の豊かさに子ども心をくすぐられたという思い出が強く残っています。
それから30数年。三田のウッディタウンに、2003年店をオープンしました。店舗をかまえる立地として最も重視したのは、自分が住みたいと思える場所ということでした。自然に恵まれ、精神的に豊かな暮らしをされている方がたくさんお住まいで、都会から来られた方もいろいろと魅力を感じられる環境。自分の得意分野で表現できるキャンバスのような可能性も感じていました。そのようなことからこの地を選択。実際に営業してみると、三田には、当初抱いていた以上に多くの可能性を感じることができます。
まずは、アクセスの良さ。高速道路ICや空港からも非常に近い立地ということもあり、私どもの店には、大阪・神戸だけではなく、北海道から九州まで全国からお客さまに来ていただいています。また、スウィーツの本場フランスやベルギーの一流シェフたちも三田の地に足を運んでくれています。そして素材の良さ。朝取りのイチゴや旬の栗など新鮮な素材をすぐ近くの方にわけていただくことができます。創作意欲を掻き立てられる素材に恵まれたパティシエは、全国的にみてもそういないのではないかと思います。
なにより三田の魅力は、刻一刻と変化する自然を感じることができるという環境でしょうか。これからも三田を拠点に、多くの方に喜んでいただけることを続けていきたいと考えています。そして、人の心に届くようなメッセージと元気を発信していきたいですね。この地から次の時代を担うシェフも育てあげていきます。楽しみにしておいてください。
小山 進